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ハーモニー 感想・レビュー・評価・あらすじ【伊藤計劃】【小説】【人間とは?】

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ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

これは、“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語——急逝した著者がユートピアの臨界点を活写した日本SF大賞受賞作
(アマゾン引用)

紹介


今は亡き伊藤計劃先生の遺作です。

壊滅的な厄災を経験した人類がたどり着いた近未来の社会を舞台に描かれたSF作品です。

細かなディティールが現代との橋渡しをして、現実に未来にこういった社会があってもおかしくないと感じさせ、物語にリアリティーを与えています。

純粋にSFとしても楽しめるのだけど、SF作品でありながら、純文学に負けないほどに「人間の意識とは?」といった哲学的なテーマにも迫っていて、あまりSFは読んだことがないという人にもお勧めの作品です。

思い入れのシーン


まずは、終盤の主人公トァンと主人公の父が対話するシーン。

この場面でおそらく作者なりの意識に対しての一つの解答を語っていると思うのだけど、その答えは即座に受け入れがたいものです。

ただ、単純に否定する事の難しいものであり『意識とはいったい何なのか?』という事に明白な答えがない以上これも一つの答えとして十分に納得のいく解答だと思います。

もう一つは、この作品全体に仕掛けられた不可解な表現方法の最終章での種明かし。

この物語は後味の悪い結末にも関わらず、この種明かしのために妙な爽快感を味合わせてくれます。

まとめ


この作品は、SFは『伊藤計劃以前と以後に分けられる。』と言われるほどの作者の遺作であり、集大成の作品と言えると思います。

この作品は作者が病床の中、意識という哲学的なテーマをSFという文体を通して描いた作品だと思います。

入り口は純粋にSF的なエンターテイメント作品として楽しみながら、出口にたどり着くころには『人間とは?』といった哲学的なテーマへと連れて行ってくれます。

個人的点数85点



ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)