漫画の地球儀

NO.6 感想・レビュー・評価・あらすじ【小説】【あさのあつこ】

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NO.6♯1 (講談社文庫)

2013年の未来都市“NO.6”。人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう?飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに…。(アマゾン引用)

あらすじ


紫苑(しおん)の12歳の誕生日、NO.6には台風が上陸していました。

無性に昂る感情を抑えきれず、窓を開け放った紫苑は、凶悪犯罪者を意味する『VC』としてその身を追われていた同じ年頃のネズミと出逢います。

ネズミは一晩で何も言わずに姿を消しましたが、彼をかくまい、施しを与えたことにより、紫苑はそれまで歩んできたエリートの道を外れることになりました。

4年後、相ついで人の変死に関わった紫苑は、治安局に強制連行されそうになります。

既の所でネズミに助けられ、再会を果たした二人は、激動の運命へと走り出していくのです。

初めて“壁の外”へ抜け出した紫苑が直面する現実、徹底的に管理、統制された“聖都市”NO.6の真の姿とは――。

『バッテリー』のあさのあつこ先生が描く、少年二人の、熱く激しい物語です。

思い入れのシーンなど


長編小説なので、大好きな場面や台詞は山ほどあるのですが、その一つが、終盤で、紫苑がネズミとの邂逅を振り返るシーンです。

『ぼくはきみと出逢うために、窓を開けたのだ。それが、ぼくたちの真実だ。ネズミ』というモノローグは、もうこの作品自体の真理というか、それこそがすべてだなと思います。

紫苑とネズミという二人の少年が出逢ったというただ一つの事実が、この物語の始まりであり、核であるのだと思います。鳥肌と涙が止まらない名シーンです。

まとめ

主人公は二人の少年ですが、紫苑の幼馴染みの沙布(さふ)や、母の火藍(からん)といった女性たちの生き様も非常に魅力的に描かれています。

この物語は、人間が人間であるとはどういうことか、その生と死を見つめる物語です。

「純粋培養のエリート」で世間知らずな紫苑に対してネズミがかける言葉はいつも辛辣で、しかし正論であるが故に、読者であるこちらが、軽薄であったり傲慢であったりする自分自身を突きつけられたようで、心を抉られるような痛みを感じます。

そうして人間の醜さや、脆さ、反対に強さを学ばせてくれる作品でした。本編完結後に外伝の『NO.6 beyond』が出版されましたが、そちらでもまだ物語が続いていくような終わり方だったので、続編を期待します。

おすすめ度A+

NO.6♯1 (講談社文庫)

NO.6♯1 (講談社文庫)