漫画の地球儀

あまりにも怖すぎるホラー小説『人間椅子』を紹介してみる【江戸川乱歩】

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アイディアとリアリティでゾッとせずにはいられない傑作

そこに豪奢な椅子が一脚置いてあったとして、
あなたはそこに恐怖を感じるでしょうか?

あまりにも日常に溶け込んでいるため、
まるで空気のように何も感じないはず。

お気に入りならば、その椅子で一日を過ごすことも多いでしょう。

――江戸川乱歩はそこに恐怖を盛り込みました。

人間椅子』、もしも椅子の中に人がいたら……。

そう想像するだけでゾッとする。

しかし乱歩の想像力はそれだけにとどまらない。

椅子に入った人間は、その持ち主をじっと監視するのです。

その描写があまりにもリアリティがあるため、
その恐ろしさはさらに増幅されるのです。

ひとつの短編でありながら、二つの視点で楽しめます

椅子はある女流作家の注文品です。

その作家が毎日使っていた椅子の中に、実は人が入っていた。

その”告白”の手紙を読む女性の恐怖、それがひとつの視点です。

もうひとつは椅子の中に入った椅子職人の視点です。

椅子職人の心理、行動は手紙を通して主観的に描かれるため、
どちらの視点もまるで自分が主人公であるかのように楽しむことができるのです。

そのため読者は監視されているような不快な感覚と共に、
人を監視しているようなスリルを同時に味わえます。

古今東西なかなかこのような作品はないと思う。

あまりにも怖すぎるから、最後に救いが待ってます

結末に関してはネタばれになってしまうため、
ここではあえて書きません。

あまりにも恐ろしく、あまりにもリアリティがあるため、
小説として読んでいても、まるで自分にも同じようなことが起こっているのではないか?

 現代でいえば盗聴、盗撮の被害にあっているのではないか?

読者はそんな不安にとらわれる。

恐らく乱歩は、もっと恐ろしい結末を描くこともできたけど、
最後にほっこり安心させるどんでん返しを用意してあります。

それがあまりに鮮やかなため、爽快感すら感じます。

それが恐怖をふとやわらげてくれる。

うまい短編小説を読みたい方、本当に怖い恐怖小説を読みたい方たちにとって、
この『人間椅子』を読んでいないというのはとても勿体ないと私は思います。

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